2012年11月12日月曜日

ヘレンドのティーカップ③

さて、前回ご紹介した絵付の先生。
とても沢山の筆がありました。
ヘレンドのティーセットに話を戻しますと、ヨーロッパの表現は写実が主です。
食器に書かれた絵も写実のため、かなり細かな動きができる筆を必要とすします。
その為、ヨーロッパの絵付け職人さんは、これを描くにはリスの尻尾のココの部分だけとか、
細かな指定で作られた筆を使うそうです。それでこそ繊細で美しい絵になるのですね。




プロは道具を選ばない”腕”だという話を聞くことがありますが、究極のところ、
良い道具に囲まれて高みを目指せるというのがプロの腕が発揮できるのではないかと思います。
筆、紙、場所、何重にも職人たちのこだわりが折り重なる偶然、寄り添いがあってはじめて
人間の持てる技術の限界が再現できる、私はそう信じています。
また、プロとはその「気」を吸って、第六感を使い仕事が出来る人の事をいうのかも知れません。



いつか私も五感だけで仕事をするのを超えたいです。

ところで、『ロスチャイルドバード・ティーセット』にまつわる話。

この食器のシリーズは、18 世紀末ドイツで財産を成したロスチャイルド家に
納められたことから、この名がついてます。そして、このシリーズを有名に
したのは、ロスチャイルド氏のユーモアによる逸話からです。

ヴィクトリア女王の園遊会に女王のお気に入りのネックレスがなくなった時、
皆で探し、庭の樹の枝に引っかかっているのを女官が見つける盗難騒動がありました。
楽しいはずの園遊会が気まずい雰囲気で終わりました。それを察してロスチャイルド氏は、
ヘレンドにロスチャイルド家用の 小鳥のパターンに首飾りを加えて作る様に命じました。
それを女王に献じ、事件はティーカップの”小鳥の悪戯”であったと。事件をユーモアで、
良い思い出に変えてしまいました。

 六感を使う人達の創造性は、人生を豊かにしてくれますね!

◆ヘレンドのティーカップ①
◆ヘレンドのティーカップ②

絵画 骨董品 買取の北岡技芳堂

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